「論理アタマをつくる!ロジカル会話問題集」第1章 ロジカルとは何か(設問1-7)

論理思考、ロジカル・シンキングが普及してきたと述べましたが、“ロジカルとは何か?”、“論理とは何か?”の理解はなかなか進んでいないようです。

「業界の論理はそんなもんじゃない!」

「それは、あなたのロジックで私のロジックは違う!」

というように、安易に使われることもあります。

あるいは、論理と屁理屈の区別がつかない人もかなりいるようです。そこで、この章では、論理とは何か、ロジックとどう違うのかを考えてみましょう。

ロジカル会話問題集設問6「利害が絡むと本質は見えにくくなる」

当社の管理部門にかかっていた間接費を各部門に配分するルールに変更したところ、花形部門と言われてきた情報通信部門が赤字となる一方、これまでお荷物とさえ言われてきた公共事業部門が一転、稼ぎ頭となった。

 この記述から確実に導き出すことのできる結論は?

A:今後、情報通信事業部門から間接費の配分ルールを再度見直すよう要望が出てくるだろう

B:間接費の費用配分の基準しだいで、部門の評価は変わってくる

C:他部門の間接費を情報通信部門が不当にかぶることになった

D:情報通信部門を取り巻く環境は他部門より厳しい

E:管理部門が高コスト体質であることが明らかになった

ロジカル会話問題集 設問6回答

「思い込み」で判断していませんか?

 ある状況に対して、私たちはいろいろなことを考えます。もちろん事実をもとに何かを考えることもあれば、事実からは言えないけれど想像をふくらませてしまうこともあります。前者は論理思考を行っていますが、後者は悪い言い方をすれば「思いつき」「思い込み」です。

 さらに思い込みを強くする要因があります。それは、利害です。
設問6で、情報通信部門の人だったら、真っ先に〈今後情報通信部門から間接費配分の見直しを再度見直す要望が出てくるだろう〉を選ぶでしょう。それは、「不利になった部門はその不利を解消する行動をとる」という前提で状況を見るからです。しかし、問題文にはそのようなことは書かれていません。
それは〈他部門の間接費を情報通信部門が不当にかぶることになった〉でも同様です。これも、「不利な変化=不当な変更」という前提があって初めて導き出せます。

 勝手に書かれていない状況を加えて結論を出してしまうこともあります。
例えば、〈情報通信部門を取り巻く環境は他部門より厳しい〉のように、外部環境に関する記述がないにもかかわらず、勝手に付け加えてさももっともな結論としてしまう。
同様に、〈管理部門が高コスト体質であることが明らかになった〉のように、管理部門のコスト体質についての記述がないのに責任転嫁してしまう。つまり注意しないと、拡大解釈してしまう可能性があるのです。

ロジカル会話問題集設問6 回答

正解はB

設問の内容から言えるのはBのみ。

あとは内容を拡大解釈して出た「思いつき」や「思い込み」

(文責:グローバルインパクト 代表 船川淳志)